その三一四

 

 






 








 
































 























 

いまごろは ingingの どこを走って?

ずっとずっと頭かどこかの片隅にあって
それでもそれがいつまでもなくならなくて。
「デイト・ペインティング」という表現方法で
活動されているとても気になっていた
芸術家・河原温さん。

彼のことを知りたいなって思っていたら
作家の宮内勝典さんの「グリニッジの光を離れて」という
一冊の本に河原さんのことが描かれているのを知った。
宮内さんのインタビュー記事の中で知ったいくつかのこと。

ABRIL 6 1967

と、キャンバスにスペイン語で描き、朝起きると
I GOT UP AT 8.47 A.M ON KAWARA
と、スタンプして、知り合いに投函する。

6、7時間かけて日付を描き続けると
I AM STILL ALIVE ON KAWARA
わたしはまだ生きていると、知人に電報を打つ。

B.C.998029 B.C.992098。
紀元前の年号をタイプライターで打ち続ける。

読んでいると、ほんとうにくらくらする。
それだけじゃなくて。
I MET
I WENT
と、会った人や行った場所を記された、手製の本が
こしらえられ。
河原さんがいつも読んでいるニューヨークタイムズの記事に
I READ と 赤鉛筆で囲みスクラップしてゆくらしい。

昔その記事を読んだときよりも。今の方がずっとずっと
河原温さんを知りたいと思っている。
日々は、
どうしようもなくing で続いてゆくし
日々は、無意味に取り囲まれている気もしてくる。
だけど、あの2011 0311以降、こういう昇華された
飾りのなさという表現形式を選んだ河原さんに、
強く惹かれてしまう。

出会った人の言葉、おいしかったごはんや甘いもの。
はじめての場所、はじめての試み、たちまち耳がとりこになった音
どれもどれも、今よりもかけがえなく思えてくる。

今さっき、ON KAWARA とキーボードに触れていたとき、
河原さんの温は、OFFとONのONに見えてきて、
しずかな行為がとてもアグレッシブなものなんだと
いまさらながらずどんときた。

       
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