その四五四 |
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秒の束 砂のましたに あてはめながら この間、福岡伸一さんのエッセイの中で、まるでわたしが知らなかったことをピンポイントで指摘されたようなことが記されていて、びっくりしたことがあった。 そこには化石のことが書かれていた。わたしは化石とはある生きていたものがそのまま固まった物だと信じて疑わなかったのだけれど、まったくそうじゃないことをそのエッセイの中で教わった。 ほんとうは化石は<貝や骨が、海の底のやわらかな砂地に埋もれ>、その<砂地は堆積した圧力で徐々に硬い岩にかわる>と、やがて<海底は地表に出る>という営みを繰り返しているらしく、そこでかつての貝や骨はどうなるかというと、<まわりの岩に比べると脆いので徐々に壊れてゆく>のだとか。 化石は遺骸そのものだと信じて疑わなかったので、それは<かつてそこにあった生命の「記憶」>という文章に出会って、なにか遥か彼方のいのちに触れているような気持ちに駆られた。 |
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