その五四八

 

 






 







 



















 

鰐口を ゆるりとゆらす あなたの鈴音

1日。夕方遅くに、初詣にゆく。
投函する年賀状を鞄にいれたまま遊行寺まで坂道を下る。
下っていると、なんか足にターボがついてるみたいになっ
て下ることがおもしろくなってゆく瞬間がある。
これは初詣に行く前のいろいろと去年はお世話になりまし
たの足のリズムなんだと思う。

例年になく空いていて、お参りするために並んでいたら、
前で手を合わせているお父さんとお母さんとにはさまれた
まんなかで一生懸命手を合わせてる女の子がいた。
なにかわからないけれど、じっと手をあわせてなにかをお
願いしているみたいだった。お父さんとお母さんはその姿
をじっとみつめつつ、笑ってる。
終わったみたいで顔をあげると、「どれだけいっぱい頼み
事したの? そんなに神様は聞いてくれるかな」って笑っ
てた。今年はじめて外でみかけた家族がとても幸せを絵に
かいたような家族でなんか、よかったなっておもう。

で、わたしは例の如くお坊さんがじっと見守っている前で
母の健康お守りを買って、おみくじをひく。一対一の図だ
っ たのでなんとなく、緊張した。
去年と同じ、ランキングでよかったと思ってたら、案の定、
おみくじの書き手の方はわたしのご先祖様への信心を疑っ
てかかっているらしい。
う、ことしもなんかデジャヴュなはじまり。
おみくじにお叱りを受けてはじまるのが恒例になっていて、
そのときやっとあけましておめでとうございますって気持
ちになっていた。

門をあとにする時、きまってきよめられた気分になってい
るから不思議だ。手水でゆすいだ指がまだつめたかったの
に、すがすがしくて。
ふいにさっき出会った家族は、境内の中の屋台を覗いてい
たのを思い出す。あの女の子の願いがひとつでも叶うとい
いなって思いつつ、坂をのぼっていた。

<私を好きでいてくれる人がいること、このままの私を尊
重 し認めてくれる人がいること。それが幸せだと思う>
これは去年のお正月に知ったOECD調べ、子供たちの幸
福度世界1位のドミニカ共和国の中学生チェルシーちゃん
の、ことば。
去年使っていた2018年の手帳のはじまりのページに記
さ れていた。こどももおとなもみんなそうであるといいな
って思う。

2019年がみなさまにとって幸多い日々でありますように。
今年もうたたね日記をどうぞよろしくお願いいたします。

もりまりこ

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