その五七四

 

 






 





|

 













 

秋の虫 呼吸がずれる 耳をこらして

迷いながらもさしだしたものが、だれかのお気に
召さなかったものであったら、それはちゃんと、
潔くあきらめたほうがいいのかもしれない。

それはイッツダンってことではなくて、場所を替
えればいいだけのことなのだ。

すこし溜め息。溜め息した後は、あたらしい空気
を吸い込まなければいけないから、それをすれば
いい。ただそれだけ。

この間、息のことを話している人をテレビで観て
いた。
<息は世界をつなぐもの。かつてここに存在して
いた人たち、これから存在するであろう人たちと
も僕たちをつなぐもの>
そんな言葉が、熱のあるその人から発せられて、
いろいろとしくじった後だったのでじんとした。

ちょうど、むかしはじめて俳句を学んだ時の師で
ある方が99歳で亡くなられたのを知ったばかり
で。師の俳句作品が今の世界の分断をを照らして
いるものだったことを知って、とてつもない時差
で理解したばかりだった。

かなしみかたの輪郭がまだみえていないけれど、
それはじぶんのなかでおいおい噛みしめればいい
し。かなしみかたの作法はいつだって誰かのなか
には存在しないのだし。

迷うって、迷わないようにしているから迷うんだ
よって考察されている方がいて。ほんとうにそう
かもしれないって思っている。迷うのが好きって
思っている間はその人はなにも迷っていないのか
も知れない。なにかにコントロールされたくない
気分があふれそうになってて、制御不能の時に限っ
てあらわれる不意を衝く現象。すこし泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TOP