その五九八

 

 




 





 


























 

じゃじゃ馬な 自転車に乗って 5月を縫って

人と人との距離をってなんどもきかされているうちに
自転車っていうのもいいかもって思っていたら。

むかしむかしのふるいクウネルが「風にのって」特集で。
自転者乗りの初心者に近かった料理のスタイリストの方が、
マシンの選び方からはじまって、その後3年経って、
<優良ドライバー>になるまでの出来事が綴られていた。

ほんとうは、いつかこのページを読もうとしたときも、
そんなにぐっと入り込む感じはなかったのだけれど。
今日はなんかちがう。

あれ。解除とかされたからかな? って思ったりして。
ひとなみに、街に出たいのかもしれないな。
なにを捨てて街に出たいのかいまひとつ模索中だけれど。

そのページに、わたしもぜんぜん自転車乗りたいとか
いう割には、なんの知識も持ち合わせていなくてあれですが、

道路になんかかっこいい緑色の、甘さなんかどこにもない
シルエットで、自転車のフレームが佇んでいた。

その見出しには<フレームがいのち>って書かれていて。

潔いっていうんでしょうか。無機質な物への想いはいつでも
募っているので、そのページばかり見ていた。

それで次のページには自転車のオンパレで。
よくみていると、ぜんぶフレームが違ってて。なんていうか、
自転車のフレームって、彼らの顔ねっていう気分になって、
いつかそのどれかに乗ろうとしている人の気分で眺めている。

ずっとこもっていると。こうやって、なんか外の空気を取り
込んでやろうじゃないの、おそるおそる少しずつみたいな気持ち
増してきます。

これってよく見ると、もう15年前のクウネルで。

そのロードレーサーに乗っている颯爽とした姿は、たぶん今も
東京かどこかの道を走っているんだろうなって思いつつ。
みえないけれど、なんか風を感じた。

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