その六二八

 

 






 







 







 

片隅で 抱えたこころ ほどいてほしい

同じ言葉を聞いたとしても、あの頃と
今では違って聞こえるということが
よくあるけれど。

年下の友達がつらいめにあってこころを
病んで。
ある場所を去って。
それでも彼女は、じぶんの好きな世界
だけは手放さなかった。

アニメの映画に救われた彼女。
わたしはほとんどその世界は知らないけれど。
それでも、彼女のこころがきのうより
すこしだけ動いているのがわかって
うれしかった。

たいていわたしは励まされる側にいて。
誰かをことさら励ましたりすることも
なかったけれど。

近頃そういう場面にであうことがあって。
誰か大切だと思う人を力づける言葉や
想いを探しあぐねているときこそが

じぶんにとってのなにか見えない力を
感じることがある。

これって、ひとりだけどひとりじゃない
っていう。

よく聞く言葉だけれど。それを心の底から
実感できたときにある意味フォースのような
ものになってゆくのかもしれない。

この間見ていたドラマの中で、精神科医の
ドクターが言うセリフがある。
「人を信じることはすごく怖いことだよ。でも
家族ではそれが入場料なんだ。信じてみよう。
君に家族をもってほしい」

これをそっくりそのまま彼女に手渡すことは
ふさわしくないけれど。

この言葉を眺めながらこれは過去のわたしに
向けての言葉のようにも聞こえてきて。

誰かに大丈夫だよって言う時、きっとその言葉
の宛先はじぶんでもあるんだなって想っていた。

 





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