その六五二

 

 




 







 






 

つかのまの ひかりの軌跡 呼吸のように

きのうは、双子座流星群がみえるらしいって
朝には覚えていたのに。やらなければいけない
ことにおわれているうちに、
夜になると空のことも忘れていた。

とある方にYouTubeで流星群のライブやってます
よって教えてもらった。
わたしの住んでる街の温度は4度ってパソコンが
教えてくれていたので、怖じていた。

ガラス窓から空をみたけど、なかなか確認しづら
かったそんな折に、live中継を教えてもらった。

部屋を真っ暗にしてみた。
むかし小さい時に花火大会の映像は
部屋を真っ暗にしてみた時みたいだった。

最初はあまりわからなかったのだけどやがてわたしの
眼でも確認できるほどの星が、その名前のように
流れていた。

まっすぐながれるものや横切るもの。
ひっそりと消えてゆくもの。
大きくセンターで光りながら落ちてゆくもの。

教えて頂いた方も同じ映像をみているんだなって
思うと、なんか不思議なつながりを感じていた。

12月の14日の午前2時頃そんなあたらしい
体験をした。
ライブ感だけじゃなくて、側にいなくても感じる
ことも、いいなって思った。

双子座流星群を肉眼で見たのは2010年。
その夜なにげなく、カーテンを開くと夜の
空をすっと下降するその抛物線に似た
曲線が、光を伴いながら落ちてゆく。
気がつくと、それは双子座流星群の中の
ひとつの流れ星だった。

ガラス越しにみえるそれを確認したとき、
あっとちいさく息を飲んだ。
窓ガラスは冷蔵庫の卵ポケットのふち
ぐらいの冷たさで、すこしだけ鼻先が
ふれるとその冷たさに、ゆめとうつつが
ゆきつもどりつするような感じがする。

流星は未知で過去で。
それから何日が経ったある日。
わたしのだいすきだった伯母が、双子座流星群が
よくみえた日になくなられたことをあとで知った。

まわりの世界になじめない不器用なわたしのすべてを
つつみこむように、見守ってくれた伯母だった。
あの2010年、肉眼でみたひとつっきりの
双子座流星群の流れ星だった。
いつまでも、あのひとつを覚えていたかった。
あれから11年経って、ふたたび離れた場所で
会ったことのない方と方と双子座流星群を
みている。

物理的な距離感を越えて、星をみるという
体験を共有しているってなかなか、誰かと
出会うって面白いなって思った。

うたたね日記をお読みいただきありがとうございました。
今年もあとわずかですが、皆様にとって心穏やかな日々で
ありますように。

 



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