その六六一

 

 





 






 





 

吹く風に 待ってゆくのは 君の言の葉

この間、知人の方に相談を受けた。

こんなわたしで相談になるのかと思った
けれど。

彼女はずっとネットネイティブみたいな
ところがあるようで。

とくに日々「書く」ことに疲れていると。

たぶん、だけど。
それって、たえず人の目にさらされる
文章を書きすぎてしまったが故じゃ
ないだろうかと思った。

SNS絶ちすればいいのかとか、そういう
込み入った話はわたしがやすやすと
助言なんてできないけれど。

彼女の人生にSNSがなかった季節は
ないことを思うと。
なにかわたしが言える立場にはないなって
思った。

だから、わたしが言えたのはひとつだけ。
誰にもさらさない文章を書いてみるのも
いいんじゃないかって。

いいねやスキとは対岸にある言葉。
誰も見ない自分だけのノートに書くような
そんな言葉。

彼女は、じぶんの文章をみている
他者の視線が時々こわいのだと訴えた。

今は誰もがなにかのお題について、絶えず
あなたの意見はどうなんだと問われている
そんな時代だと思う。

たえず、意思表明しなければいけない
そんな今をみんな生きている。

わたしはあまり向いていない世界。

白でも黒でもないもしかしたらグレー
ゾーンでもない答えしかないような
こともあるかもしれない。

言葉がじぶんの中に生まれたら、そっと
寝かせておくのもいいかなって思う。

今想うことを今表明してゆくことの
速度からすこし離れてみることで、
またじぶんが見えてくるのかもしれない。



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