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ぼ
く
た
ち
の
ひ
み
つ
が
ゆ
れ
る
月
虹
の
バ
ス
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ちいさく切り取られた窓からみるささやかな風景。
流れるように過ぎ去る時間をみせながら、ひとびとを揺らしてゆく。
街から街へと移動する足は、なぜかわけもなくバスを、選んでしまう。
バスストップと書かれたすぐ下で待っていると
いつのまにやらバスが止まり。
わたしたちを目的地まですみやかに運んでくれる。
いつも適量の速度を保ちながら、なるべく安全運転をこころがけながら。
時間や道順を違えないって、えらいと思う。
でもときどき夢想する。
いま、すべてを忘れてアクセルを全開にして
停留所なんかをすっとばして、暴走してみたいとか
運転手さんは思わないんだろうか?とか。
ちょっとこのカーブを曲がると潮の匂いがたまらないから
海をみたいなぁ、ちょっと寄り道!とか。
そんなどこかの映画のようなことはあってはならないけれど
そんなことを想像しながらバスに乗っている時間は
とてつもなく楽しい。
わたしがすきな歌には、おとこのひととおんなのひとが
すてきにふしぎなバスで旅にでるふたりが描かれている。
どんな名前で呼べばいいのかもわからないそんな夜明けが
明けたころにふたりは、バスの旅にでる。
きっと誰の目も盗めるような気がするちいさな席で、
ちぢこまるようにふたりは座る。
座るというよりもまるまったからだをひらがなにする感じで。
空の色が妖しくなるまで。バスのなかだけで時間が過ぎてゆく。
この曲がはじまると、わたしはいつもじぶんのなかだけの
バスがデジャ・ヴュのようにあたまのなかにひろがるのを
感じる。とくに日暮れたあたりの青白い照明のその中を思って
いつもいつも曲が終わるそのおしまいまで、わたしは、
ふしぎな街へと迷い込んだような気持になる。
街を流すバスとちがう、オブラートに包まれたような
あやうさにみちたそのバスは、17年経ったいまもずっと
わたしをむきだしにおろおろさせる。
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