その四二








 







 







 

冗談を しゃべる速さで 駈けてゆく猫

チャンネルを右に左にひねっていたころみたいに
すこしずらしたりしながらわたしも
右に左に移動する。

ひとつすすめば許されますが
もうひとつそっちにいくと叱られます。

叱られ方がよくわからないから
きょうわたしは叱られたのかどうかも
わからない。
でも、いまこうしながら耳が1字1句聞き逃したくないと
真剣に思っているということは
たぶん、わたしはいま叱られたのかも知れない。

まわりの空気がきょうはいろんな意味で暑い。
となりから聞こえるピアノの音もとても熱い。

すこしずつ、口癖を憶えはじめて。

すきな動物の種類もたぶん、ああいう感じって
いうのがわかりかけています。

しゃべるスピードとおなじ速さで
雑踏を歩くことも夏の手前で知りました。

おおきな丈夫な袋のなかに
わたしの知っているあなたのことを入れて
あながた知っているわたしのことを入れて
秤にそれぞれのっけたらきっとわたしの袋は
跳ねてしまうかも知れません。

そんなつまらないことに気づきました。

もし、あなたの袋のなかにちっちゃな誤解が
すこしでも入っていたら
ほんとうにかなしいです。
そういうときは、あわてずに
ちゃんと取り除く努力をひっそりとしたいです。

しなくてもいいから、と云われても
わたしがしたいからそうしたいのです。

語尾がよわいひとは信用しちゃいかんと
むかし祖父に云われたことふいに思い出しました。
語尾をいつもごまかさないところほんとうに
見習いたいと思います。

今日はそういうみのりある発見のいちにちでした。

大事なこと云い忘れていました。

もう、ちゃんとまっすぐに笑えるようになりました。
忘れっぱなしだった笑い方を思い出していました。

       
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