--- 平成十五年 ---
 

その五十六 チクタクと 境界線の 小鳥の羽根は 一月十日

その五十七 おしらせが 重なりあってる 夜の掲示板 一月二十日

その五十八 雨の窓 ネオンサインが こぼれておちて 一月三十日

その五十九 街角の みしらぬ通りに 響く鐘の音 二月十三日

その六十 じんせいは ひとりきりだと だれかがいった 二月二十一日

その六十一 あいだとか ぞうだとかって なかがよすぎる 三月三日

その六十二 ぽっかりと あしの形に 濡れている砂 三月十四日

その六十三 垂直に 夜のすきまを そっとちぎって 三月二十八日

その六十四 天と地の まんなかあたり たたずむひとは 四月四日

その六十五 銀色の 時計のねじを 果てまで巻いて 四月二十三日

その六十六 春の午後 からだのなかに 雨が降ってる 五月六日

その六十七 夜の丘 ざわつく月を ふたりで見てる 五月十五日

その六十八 りんりんと しずくに映る さかさまの雲 五月二十七日

その六十九 水のない プールの底に 枯葉が泳ぐ 六月十日

その七十 秒の束 きざまれてゆく 月光のした 六月二十六日

その七十一 ひとつだけ のどをかすめる まぶしいきおく 七月十日

その七十二 きりくちに ふれそうになる 真夏の夜は 七月三十日

その七十三 あっけなく まぶたをつよく 閉じないでいて 八月十三日

その七十四 熱帯夜 ちいさなこえで なまえを呼んで 八月二十五日

その七十五 ひまわりが せみといっしょに がくんとなる日 九月十二日

その七十六 夕暮れを 右折してみる 左折してみる? 九月二四日

その七十七 柱時計 あっちに何度か 傾いている 十月十四日

その七十八 靴の底 ぎざぎざぎざが 紅葉にさわる 十一月四日

その七十九 雨粒と インクの文字が とけあいながら 十一月二十日

その八十 くりかえし 魚になって 迷子になって 十二月二日

 
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