--- 平成十七年 ---

その一〇五 水際の 濡れたひかりを 追いかけてゆく 一月十二日

その一〇六 氷らせた 果物噛んで うそをつく舌 一月二十五日

その一〇七 しくしくと 水のようです こぼれています 二月九日

その一○八 青空の らせん階段 のぼってのぼる 三月八日

その一○九 しろぬきの ロゴが並んで すけてゆく朝 三月二十三日

その一一○ 春の水 指先できる つかのまのしぐさ 四月一日

その一一一 なりやまぬ 拍手の音と 雨音は似て 四月十二日

その一一二 青すぎる 空のpulltab  指ひっかけて 四月二十七日

その一一三 つまずいて たちあがるとき じべたがみえた 五月十三日

その一一四 いちまいの 絵の前に立つ 背骨のかたち 五月三十日

その一一五 南国の 切手のきざみ ひとつ欠けてる 六月八日

その一一六 かさぶたに 雨がしみこむ もういたくない 六月二十三日

その一一七 針がとぶ とんだ時間は ぽっかり凹で 七月十一日

その一一八 すれちがう 墨満ちてゆく みなみみなみへ 八月十一日

その一一九 交差点 出合いがしらの 満月はひょん 八月二十三日

その一二〇 バタアシが ふれあうせつな しぶきが重い 九月五日

その一二一 青い咳 雲に触れたら 雨のまえぶれ 九月十二日

その一二二 あっけなく 笑ったあとの 凪の訪れ 十月七日

その一二三 どこにルビ ふってもふっても 輪郭おぼろ 十月二十一日

その一二四 冬の月 サンプルもらう ぴんぼけのゆび 十一月七日

その一二五 いないひと さっきいたのに もういないひと 十一月二十日

その一二六 数えても 数えてみても ずれてゆく夜 十二月二日

その一二七 ひらがなの てがみをもらう 冬の路地です 十二月十一日

その一二八 知らぬ間に かけがえのない なにかを失って 十二月二十一日

その一二九 おなじ風 吸い込んでいる 夜の余白に 十二月三十日


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