--- 平成二十年 ---

その一九八 火になって 水になってゆく 誰かと誰か 一月十五日

その一九九 ぶらんこが ゆれてるせつな 香りとであう 一月三十日

その二〇〇 海水の 濃度ってこんな ひどいしょっぱさ 二月四日

その二〇一 ふたしかな ゼブラゾーンを またいで気づく 二月十三日

その二〇二 ドリッパー なんどもつぶやく お湯が湧くまで 二月十八日

その二〇三 世界だな くちぐせおもう 記憶がゆれて 二月二十五日

その二〇四 触れるゆび 背表紙の名は もうすでにぼつ 三月一日

その二〇五 ぬれている 記憶のページ めくりにくくて 三月七日

その二〇六 おしてゆく ゆびのあつりょく ひかりを生んで 三月一五日

その二〇七 すいちょくに 落下する勇気 みてるぼくたち 三月二十四日

その二〇八 満月の においのそばに いにしえの猫 四月二日

その二〇九 いっぽんの 廊下のすみで 出逢った犬が 四月八日

その二一〇 折れるまで ゆび染まるまで おりがみ折って 四月二十二日

その二一一 みひらきの さびしいの数 すこし数えて 五月七日

その二一二 げんじつは ぷれぱらーとの うえでうまれて 五月十五日

その二一三 夕暮れの 交差点の上 こゆびがふれる 五月二十四日

その二一四 きりもなく じゃっぢされてる ふたしかな朝 六月四日

その二一五 似たひとの こえもねつも せきららに似て 六月十三日

その二一六 ゆっくりと さかさまにする しんでゆくはな 六月二十七日

その二一七 こぼれてる 音をすくって 耳にもどして 七月一日

その二一八 あめでした 瓶のうちがわ あめがつたって 七月十日

その二一九 七日目の 蝉だったかな よじれるいのち 七月二十日

その二二〇 いまいじょう すきとおらないで ほしいとねがう 七月二十八日

その二二一 青かった ページのすみに 雫をこぼす 八月五日

その二二二 提灯が ひとりんひとりん 息を沈めて 八月十三日

その二二三 はかないって 記憶の言葉 ふたりつぶやく 八月二十二日

その二二四 墨色の 海までの道 おいかける鼻腔 八月三十日

その二二五 波の上に 落としてみたのは かぎかっこです 九月十二日

その二二六 銀色の 車体が先に ぬれてゆきます 九月二十二日

その二二七 むきだしの 記憶のままで まよった尻尾 十月一日

その二二八 スイッチを くすりゆびで 押した夜です 十月十五日

その二二九 いちまいの ティッシュペーパーを ゆびからゆびへ 十月二十八日


その二三〇 椅子の上 真冬の果実 こつんと置いて 十一月十日

その二三一 そのせつな 花びらこぼす しじまの庭に 十一月十八日

その二三二 みみたぶを ひっぱってみる 聞こえるように 十一月二十七日

その二三三 てをつなぐ 森のてまえで てをつなぐとき 十二月五日

その二三四 つきよたけ 夜がめぐると ひかりをおびて 十二月十七日

その二三五 ぬれている あの観覧車 めぐるよめぐる 十二月二十六日

 
 
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