--- 平成二一年 ---

その二三六 あらたまの ドの音だけを 胸にかかえて 一月五日

その二三七 夕暮れを 運んでいます バケツに入れて 一月十四日

その二三八 降りてくる 光の柱 あなたをつつむ 一月二十三日

その二三九 ぬけるように あこがれてゆく 祈りの形 二月十日

その二四〇 けんかして しゃがんだままで 冬の手花火 二月二十五日

その二四一 永遠の 半分でした 言の葉ゆれて 三月十日

その二四二 からっぽが くちあけたまま はこばれてゆく 四月五日

その二四三 ながめてる のどの錨が ふたたび堕ちて 四月十三日

その二四四 名前呼ばれて 宙をただよう 視線とからだ 四月二十五日

その二四五 耳のそば らせんを描く ゆびことば読む 五月七日

その二四六 ねじれてる 記憶がすこし ほどけるように 五月二十一日

その二四七 しろいシャツ 風をはらませ 桟に手をかけ 五月二十九日

その二四八 ばさばさの 濁点すてて 梢がゆれる 六月十日

その二四九 うしなった 場所をさがして はいつくばって 六月十七日

その二五〇 青色の ケトルがずっと ないている部屋 六月二十九日

その二五一 ねむるひと りんかくせんが 遠すぎるから 七月九日

その二五二 できごとは すべからくほら 海の底です 七月二十三日

その二五三 傘がない ってふりして 生きてきました 七月三十日

その二五四 夜に咲く 火が散る花を 誰が生けたの 八月七日

その二五五 ざりざりと 素足にふれる 記憶のかけら 九月三日

その二五六 あまやかな 声がきこえる 遠つ国より 九月十八日

その二五七 ろうそくと あの旋律を 落としました 九月二十八日

その二五八 折れ曲がる 背中のかたち あやまるかたち 十月四日

その二五九 こぼされた ことばが耳に おちてゆくとき 十月十六日

その二六〇 落葉が 部屋の中まで はらはらと散る 十月三十日

その二六一 いにしえの 彼方でゆれる はるとしゅら 十一月十日

その二六二 こわれてる ラジオの声が 眠りに落ちて 十一月二十一日

その二六三 ひきだしに せんねんまえの 種がころんで 十一月三十日

その二六四 たまさかの ひとひちぎって 車窓のそとへ 十二月八日

その二六五 生きている あかしをひとつ 音に刻んで 十二月二十九日

 
 

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