--- 平成二七年 ---

その四一三 ひつじぐも またいっぴきが ふくらみながら 一月五日

その四一四 うつろって うつろってゆく あの眼差しが 一月十六日

その四一五 とんでゆく 思いの欠片 夕日に染まる 二月十日

その四一六 車窓より 差し込むひかり 拳に届く 二月二一日

その四一七 あの夏の 輪郭だけが 川面に浮かぶ 三月一日

その四一八 それぞれの 青とあおには 理由があって 三月十二日

その四一九 だしぬけに 犬と出会った 花冷えの午後 三月二十日

その四二〇 高速を 照らす灯りが にぶく光って 四月二日

その四二一 あの夏の ちぎれる前の 雲の形は 四月十四日

その四二二 眠ってる コートの袖に 腕くぐらせて 四月二十七日

その四二三 ここという ここのりんかく 点線になる 五月七日

その四二四 つづるもの 綴られるもの 沖にでてゆく 五月十二日

その四二五 てのひらの すきまを縫って こぼれる言葉 五月二十日

その四二六 ぶらんけっと 顎のさきまで ひきあげてみる 六月四日

その四二七 雨が降る 穿たれた土 ぎくしゃくとして 六月十五日

その四二八 いないのに いるんだなって つぶやきながら 六月二十七日

その四二九 くるくると 日傘がころがる 道の途中で 七月八日

その四三〇 踏んでゆく 影と影とが すれちがう午後 七月十八日

その四三一 水しぶき 右肩の上で 蒸発してゆく 七月三十一日

その四三二 蝉が鳴く 渇いた夢の 午睡の端で 八月七日

その四三三 かたくなに むすんでみてる てのひらの地図 八月十八日

その四三四 さかさまの 世界をみてる さかだちの夏 八月二十六日

その四三五 ふりしきる 思い出だけが どしゃぶりでした 九月三日

その四三六 蜻蛉の むかしむかしが たちどまる午后 九月十六日

その四三七 いつからか つばさがはえた とぶものたちを 九月二十九日

その四三八 あのひとの 物語だけ 線路のように 十月二日

その四三九 なみと波 りんかくせんが たちまち消える 十月十四日

その四四〇 最果ての こころがそっと 佇みながら 十月二十六日

その四四一 ひとかけら なくしたことに 気づかないまま 十一月四日

その四四二 ぶきような 天使がひとり 通ったような 十一月十六日

その四四三 さそり座の しっぽのなごり ゆらっとゆれて 十一月二十七日

その四四四 冬花火 深海のうえ 灯されてゆく 十二月十日

その四四五 はかなさを みつめるまなこ ささやかすぎて 十二月十七日


 

 

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